Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】




「……唯ちゃん……」

「無理しないの。
 
 雪貴、雪貴自身を責めても
何も解決しないのよ。

 それは裕先生にも言われたでしょ。

 雪貴は今、自分を苦しめるためにここに居るの?
 雪貴自身を追い詰めて傷つけるために
 ここに居るの?

 それとも雪貴自身を見つけるために、
 ここに居るの?

 今はちゃんと考えるの。
 
 隆雪さんも悲しんじゃうよ。
 お兄さん、心配させちゃだめだよ」




兄貴の話題は、あの日から
殆どの人間が触れることなんてないのに、
唯ちゃんだけは別。



どんな時も、兄貴の話も交えながら
俺と向き合ってくれる。



「あっ……うん」

「宜しい。

 じゃ、顔面体操して
 今まで思いつめて険しい顔してたその筋肉を
 こうやって緩めちゃって」


その場で、ぞくに言う変顔体操的なものを
目の前で自らしながら、
俺がそれを真似るのを実践しながら待ち続ける。


「ふふっ。

 そうそう、その顔携帯で
 写真撮りたいかも。
 私しか見れない、雪貴の変顔」


何時の間にか自分はやめて、
俺の表情筋の動きを観察して
携帯を構えながら笑ってる。


「唯ちゃん……」


彼女の名前を呼びながら、
頬が緩んでいくのを感じる。

唯ちゃんは自然体で俺が失ったものを
引き出してくれる。


「はいっ。

 雪貴、朝からのおふざけはそれまで。
 冷めないうちに、オートミール食べてね。

 後、今日、帰ってくるまでに
 教科書見て宿題しておくこと。
 
 無事に進級は出来たけど
 学年あがって、まだ一度も
 顔出せてないんだから。
 
 中間試験までには、
 学校に行けるようになってたらいいねー。

 あっ、ヤバっ。時間来ちゃった。
  
 雪貴、洗い物残ってるけど
 帰って来てから洗うから。
 
 後、今日の晩御飯リクエストメール宜しく」