初めて訪れた雪貴の家の中を、
ゆっくりと見渡す。


ダイニングのテーブルの上には、
唯香さんへと名前が書かれた
真っ白い封筒。



そこには当面の生活費と
記された手紙と、
諭吉さんが姿を見せた。



台所用品を買い揃えました。

好みにあいませんでしたら、
こちらで買い揃えてください。


っとまた、
小さな封筒から姿を見せた
福沢さん。





何?





もしかして、雪貴の一族は
金銭感覚崩壊一家?






そんな新たな不安が見え隠れする中、
今日からまた新しい生活が始まる。






取り戻した日常?




うーん、まだ取り戻せたとは
言い切れないし
やっぱり戸惑うことばかりだけど、
ようやく
落ち着いていける気がした。






大きな柔らかなソファー。




二人腰をおろして、
口づけを交わした。





「お帰りなさい。
 雪貴」

「ただいま、
 唯ちゃん」





そんなクスグッタイ
感触に、
甘い吐息を吹きかけながら。