「いつも雪貴が
 お世話になっています。

 雪貴の担任の先生でしたか?」


重苦しい口調で、
そう告げられた途端に、
この関係が崩れてしまいそうな
不安が押し寄せる。


「はいっ。

 神前悧羅学院・悧羅校で
 音楽教師をつとめながら
 雪貴くんの担任をしております」



いつも呼び捨てにしている呼び方を
変えた途端に、
雪貴の悲しそうな視線が痛い。


「えっと、あっ。

実は隆雪さんと
 雪貴……くんの……」



あぁ、もう何言ってんだか
わかんない。



神様、
いきなりすぎるでしょ。

この試練。




雪貴の両親の視線なんて、
今まで気にしたことなかった。




こんなにも彼の両親を
意識したのは、
やっぱり罪悪感があるから?


私は教師で……
彼は私の生徒。


その事実は
変わることのない現実。