学校・自宅・病院。


同じ場所を、
毎日移動し続ける時間。


暗闇の中、
どれくらいの時間を
歩き続けるのだろうと
不安に悩まされた日々は、
ゆっくりと終わりを告げた。



「唯ちゃん」



いつものように、
ベッドの上から
声をかけてくれる雪貴。


その後、
見慣れない視線が集中する。



その日も、仕事の後に
病院へと駆け込んだ私。



何時もは、
私がお邪魔する時間には
雪貴の両親は帰った後で
あの隆雪さんの告別式以来
お会いすることもなかったのに。



二人きりになれるはずの時間は、
思いがけない形で消えて、
急きょ、雪貴の両親を交えた時間になってしまった。



「こんばんは」


緊張しながらも、
雪貴のご両親に声をかける。