「……大丈夫……」



そう答えながら……
俺の中の違和感が駆け巡る。





兄貴の死。



あの後も、何度か
Ansyalの曲に
触れる機会はあった。


だけどそこに、
兄貴のギターの音色は
存在しない。



俺の耳は、
それを拒絶してしまったかのように
俺が関わった、
兄貴のフレーズ部分のみ
流れ込むメロディーから
シャットアウトされて聞こえた。



それ以来、Ansyalの曲を
俺自身の意思で聞くことはなくなった。




兄貴の音して、
イメージしている音色は
今も俺の中には存在する。


でも、そのどの音も
求める音になりえない。




そんな失った音色が、
俺と兄貴の輝いた世界、
Ansyalとは
無意識のうちに遮断して遠ざけていく。



葬式のあの日以来、
Ansyalメンバーとも
顔すら合わせていない。