あの日から二週間。



季節は卒業シーズンを
迎えようとしているのに、
踏み出したはずの俺は、
まだ何も出来ていなかった。



今も……病室のベッドに
寝転んだまま。




神前大学附属病院の一室。


病室の窓から
唯ちゃんの勤務先兼、
俺の通う学校がある方へと
遠く視線を向ける。





どんなに目を凝らしても、
広い学院都市内。



学院が
見えることなどないのに。





唯ちゃんのいない病室は、
俺の心の空虚さを際立たせて
暗闇へと手招きを始める。




兄貴の死の後、
体調を崩して、
心を壊した俺は
今も学院へは
一度も通学すら出来ていない。





ベッドサイドの携帯電話を手に取って、
画面に表示させるのは、
唯ちゃんのメルアド。