彼が行きそうなところ。





私だったら……。
あの場所しかない。




握りしめた拳に
力を入れて、
自分を叱咤する。




「裕先生、行きたいところあるんです。
 雪貴、迎えに行ってきます。

 多分、初めて出会った
 あの場所にいると思うから」


「三人が出会った
 君たちの
 終わりと始まりの場所?」 





そう……。


私と隆雪さんの
終焉と再生の場所。



そして雪貴にとっては、
時計を凍りつかせた
全てを失った場所。




今度は
あの場所で
私と隆雪さんの二人で
雪貴の終焉と再生を手伝いたい。




それが隆雪さんが
私と雪貴に
最後に残してくれた
天の架け橋。



そう思うから。






光の記憶の奥に閉ざされた
真実パンドラの箱は残酷だけど
とても優しい光に
溢れていた。







「車、出してあげるよ」




裕先生に連れられて、
私は病院を駆け出す。