バラバラになったケースを
かき集めようと
ケースを持ち上げると
今まで気が付くことのなかった、
一枚の紙が出てきた。
Taka?
恐る恐る、
その紙に手を伸ばして、
掴み取ると
私はゆっくりと、
その紙を開いた。
☆
あの日、君を
見つけたのは俺じゃない。
俺を探しに来た
俺の弟。
だけど君を助けたのは、
紛れもなく俺だよ。
君を助けることによって
俺自身も救われた。
あの日、君に出逢わなければ、
俺は俺自身の命を
先に終わらせていただろう。
もう長く生きられない。
そう告げられた体を
君に出逢うまでは、
確実に葬り去ろうとしていた。
だけど、雪貴が君を見つけて
必死に叫ぶ声が
俺にそれを思いとどまらせた。
俺が君の元に
駆け寄った時は、
すでに弟の姿はなくて、
俺は君に話しかけたんだ。
『おいっ、お前何してんだ。
こんなところで泣いてさ。
ここから落ちる気かよ。
なんだよ、泣くなよ。
泣いてちゃ、
わかんねぇだろ。
何があったか知んないけど
落ち着くまで今だけ居てやるよ』
偉そうに言ったよな。
だけど実際に
救われたのは俺だった。
ありがとな。
残された時間。
俺は俺にしか出来ないことを
精一杯続ける。
だから君も、
俺たちが助けた命
粗末にすんなよ。
全ての想いを込めて
このCDを残していく。
良かったら、聴いてくれ。
そして君に出会って
生まれ変わった
俺自身を見つけてくれ。
後は……いつか出逢う
俺の弟を支えてやって
貰えると嬉しい。
俺にはアイツを
悲しませることしか
出来ないから。
この広い……
天(そら)の下で。
俺は弟と一緒に君に
再会できる日を
楽しみにしている。
ありがとう。
Ansyal
Taka(隆雪)
☆



