霧生くんの存在に
助けられながら、
いつもの日常が繰り返されていた。




何度となく
彼の携帯電話を呼び出しても
すぐにアナウンスの後
留守番電話センターへと繋がる。





二月、三月と
彼が私のクラスの生徒であるのは
残り二か月。



もう少しで彼は私の元から
離れて行ってしまう。





彼が学校に来なくなって
私の世界は、
また光を少しずつ失っていった。



教室にかかる表彰状は、
彼が私の為に
アレンジしてくれた
Ansyalの大切な曲。



お兄さんの大切な曲を
受け継いで彼の手によって、
アレンジされたその曲は
彼の居ない器楽奏コンクールで、
クラスメイトたちの力と思いも重なって
最優秀賞の成績をおさめた。




彼の居ない時間にも、
彼が残してくれた
大切な宝物が、
一つ、また一つと
私の中で大きくなっていく。