とっくに限界だった。
その限界を
無理やり支え続けてきたのは
唯ちゃん。
その唯ちゃんすら、
もう俺の隣にはいない。
唯ちゃんは兄貴の元へ、
帰っていったから。
俺を支え続けた兄貴も、
唯ちゃんも、
もう隣にはいない。
「先生……兄貴、
見送るよ。
病院から移動するから。
その後でもいい?
俺の方」
崩れ落ちた体の隅々にまで
力を入れて、何とか立ち上がると
立ちくらみが襲い掛かる。
そんな俺を悠久先生は
優しく支えて、霊安室の方へと
連れて行ってくれる。
葬儀社の車が迎えに来て、
兄貴を車に
乗せているところだった。
「雪貴?」
かなり顔色が
悪くなってるのだろうか。
自分だって辛いはずの、
母さんが
俺の方に歩み寄ってくる。



