「わかった。

 雪貴、
 お前は大丈夫か?」


俺の心配をする
託実さんの声。



心配かけないように
俺は深呼吸をした後に
短く頷いた。



「俺もすぐに病院に向かう」


託実さんは、
そう言うとすぐに電話を切る。




「唯ちゃん、悪い。
 俺の兄貴が急変した。

 良かったら、
 唯ちゃんも着いてきてくんない?

 俺、一人じゃ、心細くて」

「ううん。

 お兄さんのことだもの。
 そうなって当然よ。

 タクシー、
 手配したから準備して行こう」



唯ちゃんにしか
伝えられない弱音。



それも俺の本音だけど、
その奥に包んで隠された
もう一つの俺の想い。