が、言葉が出てこなかった。
「……あっ、
兄貴が……」
何度もそれを
繰り返しつづける
俺を、傍にいた唯ちゃんが
落ち着かせるように
抱きしめる。
唯ちゃんの暖かい体温が
流れるように伝わってきて、
息苦しさから解放される。
「雪貴?
隆雪がどうした?」
電話の向こう、
託実さんが心配そうに
俺に話しかける。
「すいません。
取り乱しました。
さっき、兄貴の主治医から
電話が入って兄貴、急変しました。
俺も今から、病院に向かいます。
託実さん、
他メンバーと事務所に
伝えて貰っていいですか?」
冷静に報告するように
対応を試みるも、
それを紡ぐ傍から
俺の意思とは関係ないところで
体が震えてしまう。
息がしづらくなる。



