ステージに
安置されたピアノは二台。
スタインウェイと、
ベーゼンドルファー。
ステージ袖のBOXで、
二台のピアノのうち、
どちらを演奏するかを、
玉を取り出して決める。
吸いつくように
引き寄せたピアノは、
インペリアル。
DTVTのメンバーに
支えられて、
ラフマニノフを弾き切った
俺のもとに届けられた、
通常ではありえない、
スタンディングオベイションの拍手の嵐。
流石に最前ではなかったけど、
ドセンの女神は、
俺を捕えて、微笑みながら
拍手を送り続けていた。
女神は
微笑み続ける。
そう俺が女神と
出逢ったあの日から。
柔らかく優しく、
微笑み続ける。
そんな……女神を……
愛しさ故に
見守り続けることしか
出来ない俺自身。



