「あぁ、
これは大丈夫だから。
なんかコンクール、
緊張しすぎて
最近、眠れなくてさ。
少し、体ふらつくから、
頼んだんだ。
兄貴の主治医にさ」
いつもの調子で
言い訳ががましく、
一気に話し続ける俺。
そんな俺を、
唯ちゃんは
じっと見つめながら
にっこりと微笑んだ。
その微笑みは、
今日の俺には女神見えた。
コンクール。
負ける気がしない。
控室。
お友達の百花ちゃんが、
託実の姿を捕えた時はどうなることかと
危惧したものの、耳打ちで
託実が関係を繋げた後も
百花ちゃんの態度は変わることなく
一行は、慌ただしく控室を出ていく。
コンクール開幕。
一人、
約30分の課題曲+自由曲。
次から次へと
出場者が控室から移動していく。
指先の柔軟を続けながら
待ち続ける時間。
時間になると、
俺は控室から
ステージ袖へと向かう。



