たまらずドアの方に、
顔を向けて、声をかける。
「唯ちゃん、来てくれたんだ」
わざとらしく、
ちょっぴり大きな声で。
助け舟。
助け舟と言う名の
俺の精一杯。
その声を受けて、
足音が近づいてくる。
久しぶりに見た唯ちゃんは、
やっぱり、ふわふわしていて、
可愛くて。
思わず理性をとばして、
抱きしめたくなるほどに
愛しくて。
チクリと切なくて。
何処か遠くて。
距離が縮まったと
感じることはなかったけど
心が、
温かくなる感触だけは確かで。
「こんにちは。
いよいよ、本番だね」
そう言う、
唯ちゃんの視線が
俺の腕を捕える。
何も言わずに
悠久先生の方も
無言で見つめる。
途端に、
心配そうな表情になってく。



