控室のパイプ椅子。
持たれるように
座り込んで目を閉じていると、
また扉が開く音がする。
見知った顔が姿を見せる。
「雪貴、今日は全てを忘れて
力を尽くせ。
俺は、隆雪と一緒に
客席で見届ける」
兄貴のような存在の託実さんが
最初に顔を覗かせ、
その次に悠久先生が顔を覗かせる。
「先生まで来てくれたんだ」
「僕も時々、
オフが欲しいからね。
今日は強引に貰ってきたよ。
後は気になることもあったし」
悠久先生はそう言うと
俺の下瞼をグイっとぴっばる。
「やっぱり。
気になってたんだ。
今日は大切な日だからね。
その場凌ぎでしかないけど、
少し入れておくといいよ」
そう言いながら、
早々に注射を一本用意して、
薬をセットすると、
体内に注入していく。



