いつものように、
二学期になってからも、
唯ちゃんが
下車するタイミングを待って
乗り合わせてきた電車。



待てども待てども、
唯ちゃんはその電車から
降りてくる気配はなかった。



学校生活なんて、
唯ちゃんが
そこに居なければ
ただの退屈な時間。



朝、SHRで少し顔を出して
姿を消すと帰りの時間まで、
どこで何をしているのか、
姿すら確認できない。


唯ちゃんがいつも、
私物化していた音楽準備室。


そこにも、
唯ちゃんの姿はない。



頼みの綱の、
音楽の授業とピアノレッスン室。





余所余所しい授業が、
上の空で流れていく音楽授業。




そして会話のない沈黙の時間が
ただ冷たく続くだけの
ピアノレッスン室。






こんなことを
望んでいたはずじゃないのに。






唯ちゃんの笑顔が見続けたかった。