部屋に
電気と落としたまま。



鉛のように重くなった体を
引きずるように、
受話器を手に取る。




「はい……」

「良かった。

 生きてた……。

 入るから、開けて」



受話器越しに
聞こえたのは百花の声。



「ごめん。

動けない」



機械的に言葉を返す。



「了解。

 鍵使って入るからね」



そう言うと、
ガチャリという音が響いて
百花の足音が聞こえてくる。



私は受話器を握ったまま、
動くことすら出来なくて。