Takaとしては言葉を
紡ぐことがないので
俺は相棒で、
その歓声に答えるように
何度か、
ギターでフレーズをつま弾く。




「はっ、はい。

静かに、静粛に。
 
 Takaも、
 皆に逢いたかったってさ。

さっき、Takaは夢の中で
ここにいる恋人たちに
 沢山愛して貰ったってさー」






もう。

十夜さん、
適当すぎだよ。



適当すぎる十夜さんの通訳にも
会場内からは歓声が沸きあがる。




相変わらず、
ステージ中央。



いつもの特等席に
唯ちゃんの姿はない。


その現実に
心がチクリと痛んだけれど
この場所は、
俺を暖かく包んでくれる。








兄貴の想いを受け継いだ
沢山の仲間がいるから。





「Takaが起きて来るまで、
 珍しく、オレも祈とあわせて
 ギターなんか、
 やっちゃってたけど、
 祈、やり辛そうだったしな。

 オレはボーカルのみに戻るかな」



そう言った十夜さんの傍、
近づいた託実さんが、
俺を見て告げる。


「十夜そろそろ、行こうか。

Taka、
 あれ行けるか?」



託実さんと十夜さんと俺。
三人がメインのバラード。



俺は、
ゆっくりと頷く。