熱でも出てたのか?
必死にあの日から、
もがき続ける俺の時間は、
止まったまま感覚が
麻痺してしまっていて、
上手く機能していない。
そして同時にドセンから
姿を消した唯ちゃん。
何時もは
地方LIVEすら
ドセンで
楽しんでくれていたのに。
ソファーから、
ゆっくりと体を起こすと
ひび割れた鏡を覗きこんだ。
俺はTaka。
兄貴の場所を守らないと……。
その場から立ち上がって
相棒のギターを手に取り、
音の広がる
ステージの方へ向かう。
どれだけ唯ちゃんを
傷つけても、
どれだけ兄貴のファンを
傷つけても、
俺は兄貴の代わりから
逃げることはしない。
俺にとって、
受け入れがたい現実から
目を逸らすための一つだから……。
願掛けという言葉で
誤魔化して
俺の弱さを包み隠した行為だから。
他の誰でもない。
兄貴を
求めているのは俺自身。



