あの日、フラフラと
病室から彷徨い出る
唯ちゃんを、
俺は追いかけることも
その手を掴みとることも
出来なかった。






唯ちゃんの視界に
俺は映ってない。








いつも、
俺に笑いかけてくれる
唯ちゃんは、
そこにはいなかった。





俺を見つめる
唯ちゃんの瞳は
ただ軽蔑の眼差しだけのように
見えて……俺の方が、
まともに唯ちゃんを
見つめることが出来なかった。








兄貴の為。

俺の為。

Ansyalの為。





どれほどに自分の罪悪感を
埋める言い訳を考えても
俺は俺自身を許せる言葉が
見つけられないでいた。






俺は後、
何人の唯ちゃんを
苦しめたらいいんだろう。