「遊んだつもりはない。

 ただ唯ちゃんを
 騙したことには違いない。
 
 あの時、俺が全てを話してたら、
 今、唯ちゃんを
 苦しめることもなかったかも知れない。

 だけど……」


彼はそう言いかけたまま、
口を閉ざしてしまった。





Takaは
宮向井くんのお兄さん。



そして宮向井くんも
またTaka。








私は何も言葉を紡ぐことが出来ず、
鞄を握りしめて、
病室から逃げ出すように飛び出した。





病室を飛び出して、
雨の中傘も差さずに走り出す。





脳裏から離れないのは、
人工呼吸器と機器に繋がれた
Takaの姿。



ステージで
輝いていたころの彼とも、
初めて出逢った時の
彼とも違ってしまった
痩せ細った彼の姿。