泣いてるの?




そうだねー。


綺麗だねー

その涙はこの百万ドルの夜景に
匹敵するほどに神聖な宝石だね。




「あっ、Takaみっけー」


二人の時間を邪魔するように、
十夜の声が聞こえる。


十夜は、
エスコートしてる相手の腰に
手をまわして
夢のひと時を演出してる。



……十夜さん……。


十夜さんの姫君は
すでに溶けきって夢心地。


「Taka、
 姫君を泣かせちゃダメだよー。
 
 啼かせるのは
 ベッドだけにしておきな」


あっ。

あの人はなんてことを。



思わず、
唯ちゃんをじっと見つめるも
唯ちゃんは、
今も景色を見つめ続けてる。



「あぁー、姫君はTakaより
 景色がいいみたいだねー。
 
 良い夢を。

 Taka、写真忘れずに
 沢山撮っておきなよ。
 
 ツーショット写真。

 後日、アルバムにしてプレゼントするんだからな」



去り際、その部分だけは
耳打ちするように小声で伝えて
俺の前から立ち去っていく。