そう……。
ファンを
偽るかも知れない。
だけど居ないように見えた
Ansyalの中にも
俺はあの日から存在してた。
どれだけ兄貴を装っても、
兄貴の音色に近づけても、
ZEMAITISは俺と兄貴を
裏切ることはなかった。
夢中になって
完成された曲には
楽器隊がアレンジを
完成し終えるまでの
僅かな間に、
十夜さんによって
歌詞がつけられる。
メンバー全員が
一つになって
その曲に
生命を吹き込む。
新曲が、
朝陽の祝福を受けて誕生した。
「いいじゃん?」
「おぉ。
いいなぁー、Ansyalらしさも
出ててなぁ」
「あぁ」
「いんじゃない?」
メンバーそれぞれ、
感想もひとしおで。
レコーディング前に
さっき合わせた新曲を
録音していた音源を
託実が俺に手渡す。



