スタジオ。 唯ちゃんが退院した休日。 朝、病室に姿を見せて以降 夜まで、唯ちゃんのマンションで 夢のような時間を過ごした。 そして今、俺は、 もう一つの偽りの世界の中に 身を投じていた。 兄貴の身代わり。 唯ちゃんを 深く知れば知るほど AnsyalのTakaが 重く圧し掛かっていく。 音楽に集中できない……。 一瞬の音のミス。 「ストップ。 やめろやめろっ!!」 スタジオに 託実さんの声が響く。