病院なの?




ベッドを抜け出して
ゆっくりと、
点滴がぶら下っている棒を
押しながら病室から顔を出す。






部屋を一歩出て
広がる世界は、
紛れもなくこの場所が
病院なのだと理解できた。





忙しそうに廊下を
足早に移動していく
看護師さんが
ふと私の前で足を止める。





「緋崎さん、
 目が覚めました?

気分はいかがですか?」



看護師さんは
天使の微笑みで
にっこりと笑いかける。



「すいません。

なんか、
 ご迷惑かけちゃいまして。

体は、多分
 持ち直したと思います。

今はすっきりしてますから。

 ただ、
 どうして此処にいるか
 覚えてなくて」

「そうですか。

 素敵な教え子さんですね。

担当の先生に報告して、
 もう一度、病室に
 お邪魔しますので、
もう暫く、病室に
 居て頂けますか?」

「はい」



看護師さんは
私の前を去っていく。