軽い唯ちゃんを
ひょいっと抱え上げると
音楽室を早々に退散して
学校の敷地内から抜け出して
大学側の敷地へと侵入する。
その先には、
兄貴が入院している
大学附属病院。
制服姿のまま、
唯ちゃんを抱えて
病院のドアを潜る。
受付しないとな。
抱えたまま、
受付へと向かう俺に
聞き慣れた声が聞こえる。
「雪貴くん」
近付いてきたその人は
兄貴の主治医。
悠久(はるか)。
悠久は、俺の抱えた
唯ちゃんに気が付くと
慌てて駆け寄って
俺から抱え上げていく。
駆けていく悠久の後ろを
追いかけて処置室へ
連れて行かれた唯ちゃん。



