鍵盤から手を放して、 周囲を見渡す。 音楽室には誰もいない。 ……まさか……。 ピアノから慌てて離れると 普段は開ずの扉になっている 音楽準備室の ドアノブに手をかける。 おもいっきり、 ドアを引き寄せて 駆け込むと ……居た……。 「唯ちゃん」 慌てて、 唯ちゃんの方に駆け寄って 倒れている体を抱え起こす。 額に手を当てる。 ……やっぱり……。 朝、気になった通り 熱で出てんじゃん。 そんな体調で何してんだよ。