天の川を超えた音楽室。

廊下を早足で歩く俺の聴覚に
届く声はそれぞれの教室から
発せられる音。


それらの音を聞き流しながら、
ようやく辿りついた音楽室のドア。

期待を込めて開くものの
そこに唯ちゃんの姿はない。



その場所にあるのは、
昨日の昼休みに
唯ちゃんとセッションした
ピアノが一台。




引き寄せられるように
ピアノの蓋を開く。




白と黒の美しい
鍵盤が
ゆっくりと広がる。





指先を鍵盤に近づけて
天の調べの最初の音を
単音で紡ぎだす。