体調が優れないままに
学園行きの電車に乗り込み
最寄駅まで向かう。




降り口のドアが開いた途端に
缶詰の中身が一斉に
外へと流れを作り始める。

その流れに
押しつぶされるように
今日も流される私。 




「唯ちゃん、こっち」




流される私を
受け止めるのは、
いつもと同じアイツ。




そして今日、
最も逢いたくない存在。




だけど小柄な私には
宮向井くんのような防波堤は
やっぱり有難いわけで。




「おはよう。唯ちゃん」

「おはよう。
 宮向井くん……」


逃げ去りたい気持ちが先走って
今日は思わず、
人波が過ぎた駅のコーナーを
足早に歩きたくなる。


「唯ちゃん。
 逃げられないよ」


立ち塞がる宮向井くん。