思わず、目元に指先を触れて 暖かいものを拭う。 飛び起きようとして 体にあたる障害物が、 相棒の脚だと いうことに気が付く。 ピアノの下から 抜け出すように 布団から這い出すと、 毛布を引っ張り上げて包まり、 窓を開けて夜風に触れながら ボーっと月を見上げる。 満月。 明るい光が 柔らかに降り注ぐ 神秘的な夜。 外に向かって、 ゆっくりと手を伸ばす。 自らを浄化するように。