まだ授業の声が聞こえる教室。中は見えないけれど、この中にあの人がいる。


「…私の事、忘れてたり…」

「しないから。」

「そうかなー…」


土壇場になって消極的になりかけている私に、彼女は付き添ってくれた。

授業終了のチャイムから7分が経っている。

休み時間は15分。

声をかけているのを、周りの人に聞かれたくない。けれど、次にこの教室で授業がある人が、既に20人以上は廊下に待機している。

幸い、その人達の中に知り合いはいなかった。