366日の追憶



「ドア動かしておけば良かったな、ごめん」


「ううん、大丈夫。それよりパン、美味しかったよ。ありがとう。」


「本当!?あっ、今終わるからそこで待っててね」


「うん」


お店の中の最終チェックをし、よしと一言呟いて電気を消し鍵をかけた。


「寒いなぁ、やっぱり18時にもなると」



外に出た途端、冷たい風が頬に当たる。


「そうだね、昼間は結構暖かかったのに」


「まぁ、まだ雪が解けてないからなぁ」



もうすっかり空は青黒い中、街灯を頼りに歩く。


お店から数メートル先のところに階段がある。

そこを降りると二つの分かれ道。

二人はいつもそこでさよならをしなければならない。




「じゃあ…」


もうお別れかと思い寂しい気持ちを隠して別れを切り出した時、



「あっ、ちょっと悠くん?」


「…ん?」


いつもじゃあねって言う美桜が突然僕の名前を呼ぶから

少し疑問を抱き美桜の方を見た。



「あのっ、嫌ならいいんだけど、昨日カレー作ったの。凄く余ってるから…食べていかない?」



「えっ、いいの?」



美桜からの急なお誘い。
びっくりしたけど僕の口はえっいいのって。


にやけてないかな今、僕。


「うん、悠くんがいいのなら」



「じゃあ…いただきます!」

迷いなく僕は体を美桜の道の方へ勢いよく向けたら

美桜が大きな声で笑ったから



「何で笑うんだよー」


って小さく抵抗した。