「忠野さん、これなんですけど…」
「あぁ、そこらへん置いといていいよ」
―僕がオーナーを勤めるこのパン屋はオープンして1年。
パンが美味しいと口コミで広がったらしく、毎日沢山のお客さんが訪れる。
今日も厨房から見える木々たちに癒されつつあります。
―……
「ねぇ、先輩…眠たいっすね」
「えっ、そうか…」
僕が雇っている自分より3歳下のこいつ。
名前でお互い呼ぶのはちょっと変だということで僕はこいつを後輩と、こいつは僕のことを先輩と呼んでいるということ先にをお断りしておこう。
「ちょっと今軽くかわしたでしょ!美桜さん来ても教えないですよ!」
「えっ、それはちょっと…」
―カラン、カラン…
「…噂をしたら先輩…。あっ、教えちゃった」
「えっ」
予感、つまり心の準備が整ってないときに
君は不意にやって来る。