甘い蜜



ーーー何!?何があったの!?


でもそのすぐ後に、突然聞こえた凛と智哉の笑い声。

後ろを振り返ると、お腹をかかえて笑う二人の姿。


「みーちゃんのビビり」


ーーーまんまと、ひっかかった。

あたしを驚かせようと、わざと悲鳴をあげたんだ。


「凛のばか!やめてよ!」

あたしは凛を睨んだけど、

「あ、みーちゃん後ろ!」

凛はあたしの後ろを指差す。


ーーーまた、騙すつもり?

あたしは半信半疑で振り返った。


そこには、井戸から這い出てくる女の姿。

長い髪に隠れて見えない顔。


「きゃあああああ!」

ーーー無理無理無理!


咄嗟に、隣の翔琉の腕にしがみついた。


「まじウケる」

凛と智哉の笑い声なんて、気にしていられない。


ーーーもう嫌だ。早く出たい。


でも、そんなあたしに手を振り、

「じゃ、お先に」

先に進んで行く凛と智哉。


ーーーえ、待って!置いていくの?

翔琉は?翔琉は置いていかないよね?



見上げると翔琉の顔がいつもより近くにあった。