甘い蜜




翔琉が向かった先は、公園の中央にある大きな広場。

あたしは、そこにある大きなお化け屋敷が目に入った。


ーーーあそこは、絶対入りたくない。


でも翔琉はお化け屋敷の前を通り過ぎる。

その先には、ベンチに座る凛と智哉の姿があった。


二人の前では、繋がれた手は解かれると思っていたけど、

「迷子、捕獲」

翔琉は二人に声をかけた。


繋がれたままの、あたしの右手。


凛はすぐにそれに気付き、あたしに笑いかけた。

恥ずかしかったけど、あたしも笑い返す。


「ご迷惑、おかけしました」

二人に謝ると、

「絶対はぐれると思ってたよ」

と笑われた。


ーーーもう、はぐれないもん。


「お好み焼き買っといた」

「サンキュ」


翔琉は智哉からお好み焼きを受け取り、あたしと翔琉は隣のベンチに並んで座った。


あたしがクレープを食べ終わると、翔琉に差し出されたお好み焼き。

「食う?」

「ありがと」

翔琉が食べかけたお好み焼きを、あたしも少し分けてもらった。