甘い蜜




次の瞬間、後ろから腕を引っ張られた。

そして、頭上から降ってきた声。


「見つけた」


振り返ると、翔琉がいた。

見上げると、翔琉の安心した顔。

薄っすら汗をかいた額。


ーーーもしかして、探してくれてたの…?


「あ、ごめん。痛かった?」


あたしの目に溜まった涙の訳を、勘違いしたみたい。

腕を掴む手は、離された。


ーーー違うの。

あたしは翔琉を探してたんだよ。

でも、翔琉があたしを見つけてくれた。


「ごめんね。ありがと」


ーーー良かった、再会できて。

心の底から安心した。


すると、あたしの右手に触れた翔琉の手。


翔琉を見上げると、優しい笑顔。


「もう、はぐれんなよ」


そう言って、あたしと手を繋いだ。


あたしは嬉しくて、でも恥ずかしくて、小さく頷いた。


翔琉が歩きだし、繋いだ手があたしを連れていく。


ーーーこれで、もうはぐれない。

はぐれたくない。


繋いだ翔琉の手を、そっと、強く握った。