「みーちゃん早くー!」

「はーい」


待ち合わせの時間は、もうすぐ。

あたしは鏡の前で、最終確認をした。


少し気合いの入った化粧に、巻き髪。

そして凛がコーディネートしてくれた、可愛い系の服装。


ーーーよし。


「ごめん、お待たせ」

あたしは凛に続いて部屋を後にした。


ーーーもうすぐ会える。

まるでデートにでも行くような気分。


でも違う。きっと同伴だ。



呼んでいたタクシーに乗り込むと、すぐに目的地まで走った。


隣を見ると、いつもより可愛く見える凛。

でもその拳は強く握られている。


ーーー緊張してるの?


あたし以上に、凛はデート気分のようだ。


「あたし今日仕事休もうかな」


凛がポツリとつぶやいた。


「同伴は?」

「智哉は店に来なくてもいいもん」


ーーーもう凛は夜の女じゃなかった。

店に来てほしくないってことは、凛は完全に智哉を客として見てないんだ。

仕事を休んででも、智哉と一緒にいるつもりなんだ。


あたしも同伴は望んでない。

でもあたしが仕事を休んだところで、翔琉は一緒にいてくれるの?