一口煙草を吸ってから、あたしは話題を変えた。

あたしが聞きたかったこと。


「凛はどうなったの?付き合った?」


あたしの質問に、今度は凛が一瞬固まった。

その反応に、まだなんだと気付いた。


「友達のままだよ。付き合うとか、まだ…」


だんだん小さくなる凛の声。

焼酎を一気に飲み干す凛に、あたしは笑いを堪える。


ーーー早く付き合っちゃえばいいのに。

智哉の丸見えな気持ちに、凛は気づいてないなんて。

もどかしいというか、微笑ましいというか。


「自信もってよ、凛」


あたしは凛の背中を押す事しかできない。

だってもう、ゴールはすぐそこだもん。



結局この日、あたしと凛は太陽が完全に登りきるまで飲んで喋り続けた。


酔いがまわって先に寝たのは凛。


あたしは最後にもう一杯だけ飲んだ。

そして、左手でそっと右手を触った。


翔琉と繋いだ手を。