甘い蜜



「じゃ、またね。智哉また連絡するから」

「おう。じゃあな」


凛とあたしは手を振って、ビルの前に止まっているタクシーに乗り込んだ。


でもあたしは乗り込む直前に後ろを振り返り、


「ごちそうさま!またね」


と言って、凛の隣に乗り込んだ。


また会えることを信じて「またね」と、翔琉に伝えたかったんだ。


翔琉が手を振るのが見えた気がしたけど、もしかしたら見間違いかもしれない。



走りだしたタクシーは、あたし達のマンションへ向かった。


「今日みーちゃんの部屋、泊まってもいい?」


眠気なんて微塵も感じさせない凛の声。


ーーーあたしはまだまだ寝かせてもらえないようだ。


何を聞かれるのか、だいたい想像がつく。

それに、あたしも聞きたい事がある。


あたしは笑って、

「いいよ、おいで」

と答えた。



マンションに着いてから、まず凛の部屋に寄った。

部屋から出てきた凛の手には、焼酎が1本。


「もちろん、飲むでしょ?」


あたしは笑って頷いた。