甘い蜜



「翔琉って、あたしのこと…」


ーーーキャバ嬢として見てるんだよね?


智也にそう聞きたかった。


でもそこに翔琉が戻ってきてしまい、結局最後まで言えなかった。


「どうなんだろうね」


智也は悪戯に笑った。

翔琉の前ということもあり、智也はそれしか言わなかった。


「何の話?」


あたしと智也を交互に見ながら、翔琉が口を挟んだけど、

「なんでもない」

と笑って、あたしはこの話を終わらせた。



結局あたし達はそのまま閉店まで居座った。

外に出ると、空はほんのり明るくなり始めていた。

それなのに、あっという間に感じてしまったアフターだった。


「翔琉、朝起こして」

智也が翔琉に頼んでいるのが聞こえた。


ーーーそうだ、翔琉と智也は今日も朝から仕事なんだった。


「ごめんね、こんな時間まで」

翔琉に謝ると、

「いいよ、楽しかったし」

と、笑ってくれた。


ーーーまた、目が離せなくなりそうだった。

翔琉がたまに見せる笑顔は、あたしの調子を狂わせるものの一つだ。