甘い蜜





「凛、ついてるよ」

智哉の声に、あたしは顔をあげた。


そこにいたのは、ソースがついた凛の口を拭く智哉の姿。


その瞬間、ほんのり赤くなる凛の頬。


凛にだけ向ける優しい智哉の顔。


やっぱり智哉は、凛のことが好きなんだ。

なんとなく、わかってしまった。



ーーーいいな、凛は。

素直に羨ましいと思った。



椅子を引く音が聞こえて隣を見ると、

「ちょっと、トイレ」

と、翔琉は席を立った。



翔琉がいなくなるとすぐ、凛はあたしに笑顔をみせた。


「みーちゃん、よかったね」

「…なにが?」


ーーー凛は何の事を言ってるの?

アフターに来れたこと?
もしかして、手を繋いだ事はバレてるの?


凛の目を見ると、何もかもバレてしまっている気がする。


「いろいろと」


そう言って笑う凛。

その隣で、智哉もにっこり笑っていた。


ーーーあ、そうだった。

今日のアフターを計画したのは、凛だけじゃなく智哉もだった。