甘い蜜



結局あたしの意見なんて聞き入れてもらえないまま、ゲームはスタートした。



ーーーあたしが勝ったら3人共、一気飲みさせてやる。



でも、こういう時に限って、勝てないもの。


「みーちゃんの負けー!」


見事に負けたのは、あたし。


「いくらでも一気するから!」


あたしが手を合わせてお願いしたところで、許してもらえなかった。



ーーーここは、覚悟を決めて聞くしかない。


あたしは小さくため息をついて、負けた罰を受ける。



でも、そこに黒服がやってきた。



ーーー助かった。


閉店を知らせる黒服の声に、あたしは救われた。



ーーーよかった。本当よかった。

安堵の息をつく。



でも安心したのも束の間、あたしはだんだん不安になってきた。


ーーーアフターに誘われてない。


チラっと隣を見たけど、帰る支度をする翔琉の姿。


凛を見ても、あたしの目線に気付かないのか、こちらを見ない。



ーーー期待は外れたみたい。



翔琉と智哉を見送った後、あたしは大きなため息をついた。