甘い蜜



「ごめんね、お待たせ」


翔琉の隣に座ると、前から視線を感じた。

見ると、凛が小さく笑っている。



ーーー凛にはバレたのかも。

あたしが今何を思っていたのか。


あたしは、凛には隠し事はできないようだ。


あたしも小さく笑って、

「さっきの続きしよう」

と、今度こそリベンジを申し立てた。


「ちょっと待って」


智哉が手を上げた。


「今話してた所なんだけど、雅ちゃん負けたら怖い話にしよう」


そう言って智哉は笑った。


ーーー怖い話!?


「みーちゃん酒強いから一気しても変わらないんだもん」

凛も笑って付け加えた。



「やだよ、怖い話なんて…」


ーーー絶対負けられないじゃん。


「勝てばいいだけだろ」

翔琉はそう言って小さく笑った。


ーーーあ、笑ってる。


でもあたしは目が離せなくなる前に、慌てて目を逸らした。