甘い蜜




嬉しそうな凛の横顔に、

「アフター楽しんできてね」

と伝えた。


その瞬間、曇る凛の顔。


「え…みーちゃんは?」


「店の中だけで充分みたい」


あたしは笑って、凛を更衣室まで連れていく。


「翔琉、まじ何考えてんの」


凛はブツブツ文句を言っていたけど、あたしは何も言わなかった。


文句を言う事じゃない。

普通のキャバ嬢と客なんだから。



凛が着替えてる間、あたしは椅子に腰かけて煙草を吸った。


ーーーもう、指名される事も無いと思ってたのにな…。


煙と一緒にため息も漏れる。



「みーちゃん」


あたしを呼ぶ声に振り返ると、着替え終わった凛がいた。



「みーちゃん、まかせておいて」


何故か、自信満々の凛の顔。



「え?なにが?」


「これから智哉と作戦会議してくる」



ーーー作戦会議?



「何の?」

「内緒!」


悪戯に笑って、凛はアフターに出掛けて行った。


よくわからないままの、あたしを残して。