晩ご飯は、新しくできたイタリアンで食べた。
おいしい料理に酒はすすむ。
「中学の時ね、よく智哉と一緒に登下校してたんだよ。
家がすぐ近所だったから…」
酒のせいか、恋のせいか、凛の頬はほんのり赤かった。
「中学の時は、何もなかったの?」
「ないない。あたしの片思いだもん」
初めて聞く、凛の中学時代。
それに久しぶりに聞く、恋の話。
凛の嬉しそうな顔を見て、あたしまで嬉しかった。
それから2軒ほど飲み歩いて、家に着いたのは朝だった。
いつもならベッドに直行。
でも今日は、なんとなく、買ったばかりの白いドレスを広げてみた。
ーーーこのドレスの出番はあるのかな…。
思い浮かぶのは、翔琉の冷たい横顔。
うん、やっぱり出番はなさそう。
小さくため息をついて、ソファにドレスを放り投げた。