「真っ白の総レース…」

「みーちゃん絶対似合うよ」


ドレスショップを出たとき、凛は嬉しそうに笑っていた。

でもあたしは、ため息を漏らしていた。


あたしの右手には、真っ白のロングドレスが袋に収まっている。


真っ白のドレスなんて、新人の時に着た以来だ。


「あたしやっぱり黒がいい」

「だめ、みーちゃんは白!」


色違いで買った凛のドレスは、黒の総レースだ。


凛の方が白をよく着てるし、あたしはいつも黒系のドレス。

でも買ったのは、普段お互い着ない色。



「何であたしは白なの?」

「翔琉は可愛い系が好きらしいの」


ーーー翔琉!?


ここで出てくると思わなかった名前だ。


「翔琉は絶対…」

「絶対また来るよ、みーちゃん」


あたしが言い終わらないうちに、凛はにっこり笑って言った。


でも、あたしはやっぱり信じられない。

そして翔琉が来ない限り、このドレスの出番はないわけだ。


「翔琉が来た時しか着ないからね」

「あたしも智哉が来たときしか着ない」


顔を見合わせ、なんだか可笑しくなって2人で笑った。