「凛、おなかすいたー」
スタスタと先を歩く凛の後ろを、あたしはただ着いていく。
「ドレス買ったら、ご飯にしよう」
振り返った凛は、やっぱり悪戯な顔をしていた。
「そろそろ教えてよ」
「みーちゃんと色違いのドレス着て、一緒に働きたいから」
ーーー嘘だ。
もっと違う何かを企んでるはず。
「本当は?」
「嘘じゃないよ、これ本当!」
何年、一緒にいると思ってるの。
凛の事は、店のどの女の子よりわかってるつもりだ。
「まだ隠してることあるんでしょ?」
横に並び、凛の顔を覗き込む。
バレちゃった?と言いたげな凛の顔。
その瞬間、あたしは堪えきれなくて笑った。
表情がコロコロ変わる凛の顔は、見ていて面白い。
「買ってからのお楽しみ!」
凛はそう言って、足早にドレスショップへ入って行った。
ーーーこうなったら付き合うしかない。
あたしは小さく笑って、凛の後に続いた。

