甘い蜜





「俺、半年も続くなんて久しぶり」


あたしの気持ちなんて知るはずもない蓮は、嬉しそうに喋る。



あたしも、半年続くなんて久しぶり。

付き合う男は耐えなかったけど、1人の男と付き合う時間はいつも短い。


それは蓮も同じ。



「俺ら、やっぱ似てるよな」



その蓮の言葉に、あたしは頷かなかった。

頷きたくなかった。


確かに、似てるかもしれない。

でも似てるからといって、いつまでも蓮と一緒にいたいと思えない。



ーーーあたしだって本気の恋がしたい。



黙ったままのあたしの顔を、蓮が覗き込む。


「瑞希…?」


顔をあげると、蓮と目が合った。


何でこの人と付き合ったんだっけ。

いつも男と付き合うたび、最後にたどり着く疑問。



「ごめん、別れよう」




好きで付き合ったわけではなく、好きだと言われたから付き合う。


一緒に同じ時間を過ごしても、あたしには「スキ」という感情が芽生えた事がない。

結局最後はあたしから別れを告げる。


いつものパターンだ。


パターン化された、あたしの偽りの恋。