最後の女、最後の恋。 そして人生最後のプロポーズ。

「人間はそんな噂話が大好きでしょ?あっという間に中学にも近所にも広まりました。近所の人からは変な目で見られるし、クラスメイトや先輩、先生は今までとあきらかに接し方が違う。陰口言う奴だってでてきたし、嫌がらせも始まった。あたしを黴菌扱いしたり、暴力なんか当たり前です。ばあちゃんとじいちゃんはイライラをあたしにぶつけるし……もうそこからは人間無理になりましたよ。だから笑わないし、楽しくもないし……つらくもない。今はあんな家出たから少しは良くなったけど、自殺未遂もしたし、 今だって死にたいってことしか頭にない です。」

つらいはずなのに転校生は一気に話してくれた。

だから長袖のシャツ着てるのか。

俺は今までにない、よくわからない気持ちになった。

同情なんかじゃなく、俺は転校生を、なぎさを守りたい。

そんな感情からか俺は普段なら絶対に言わないような事を口にしていた。